やる気は本当に存在するのか

つぶやき

やる気があれば何でもできるのか

「やる気が出ない」「もっとやる気があれば」——そんな言葉を、一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。

5月に入り、新生活のざわめきが落ち着いてくるこの時期、なんとなく体が重い、気力が湧かない、という感覚を覚える人は少なくありません。世間ではそれを「5月病」と呼びます。今回問いたいのは、そもそも「やる気」とは何なのか。私たちが当たり前のように使っているこの言葉の正体を、少し立ち止まって考えてみたいと思います。


1.管理者の意見

結論から言うと、

「やる気を待つことは、来ない電車を待ち続けることに似ている」ではないでしょうか。

やる気とは、行動の「原因」ではなく、行動の「結果」として後からついてくるものではないでしょうか。やる気が出るまで待ってから動こうとする姿勢は、実は順番が逆なのかもしれません。


2.理由と前提

「やる気」というものを私たちは確かに感じることがあります。しかし、それは一体どこからやって来るのでしょうか。

面白いことに、やる気が出たから動いたのではなく、動いたからやる気が出た、という経験をしたことはないでしょうか。重い腰を上げて机に向かってみたら、気づけば夢中になっていた。そういう経験は、誰にでも一度はあるはずです。

心理学の世界では、行動が感情を生むという考え方があります。感情が先にあって行動が生まれるのではなく、行動を起こすことで感情が後からついてくる、という逆転の発想です。

坂口安吾は『堕落論』の中で、人間が理想や美しさに縛られることの危うさを説きました。あの論考が鋭いのは、「あるべき姿」を先に設定することで、かえって人は動けなくなるという逆説を突いているからです。「やる気のある自分」というあるべき姿を先に描くことが、かえって行動を遠ざけているとしたら——安吾の堕落論は、やる気論にも通じるように思います。

やる気という概念は、実体のない「状態の名前」に過ぎないのかもしれません。行動を起こしたあとに、あのときはやる気があった、と名づけているだけで、行動の前にやる気そのものが存在していたかどうかは怪しいのです。


3.反対が正と考えてみる

では逆に「やる気は確かに存在する」と考えてみましょう。

好きなことをするときと、嫌いなことをするときでは、明らかに身体の動きが違います。好きな作業は時間を忘れ、苦手な作業は10分が1時間に感じられる。この差は、やる気という何らかの状態の違いとして説明できるのではないでしょうか。

また、睡眠不足や体調不良のときはやる気が出にくいことも、多くの人が経験しています。これはやる気が「脳や身体の状態に根ざした実在するもの」であることを示唆していないでしょうか。やる気がないから動けないのではなく、動ける状態にないからやる気も出ない、という解釈です。

やる気を「幻想」と断じてしまうことで、体や心からのサインを無視して無理に動くことを正当化してしまう危険もあります。休息を必要としているときに「やる気を待つな、動け」と言い続けることは、消耗を加速させるだけかもしれません。


4.一般的見解ではどうなるか

社会全体で見ると、「やる気」はひどく高く評価されています。やる気のある人は称えられ、やる気のない人は怠け者と見られることすらあります。一方で、やる気がある人を冷ややかに見る場合もあり、一生懸命に何かに没頭することが恥ずかしいと思う人もいます。非常に不思議なもので、頑張ろうとする人の足を引っ張ろうとするのです。

話を戻しましょう。

これは少し奇妙なことではないかと思います。やる気があるかどうかは、本人の努力だけでなく、環境・体調・人間関係・睡眠・食事など、無数の要因が絡み合っています。それを個人の資質や意志の問題に帰着させるのは、あまりにも単純すぎる見方かもしれません。

5月病が話題になるたびに「気の持ちようだ」「とにかく動け」という言葉が飛び交います。しかしその言葉は、やる気という概念の正体を問わないまま使われています。やる気があればできる、という前提が本当に正しいのか。一度立ち止まって問い直す価値はあるでしょう。


5.まとめ

やる気は、来るのを待つものではなく、動いた先に気づくものではないでしょうか。

同時に、動けないことを「やる気のなさ」と名づけて責める文化には、少し慎重でありたいと思います。やる気という言葉は便利ですが、その便利さゆえに、複雑な内側の状態を一言で片づけてしまう道具にもなりえます。

行動が先か、やる気が先か。この問いに唯一の答えはないかもしれません。ただ、やる気を信じすぎることも、やる気を否定しすぎることも、どちらも何かを見落としているように思います。

あなたにとって「やる気」とは、行動の原因ですか。それとも結果ですか。

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